かつてメディアに「お嫁さんにしたい人」というイメージを付けられて葛藤したという市毛良枝さん。4年前に亡くなるまで13年近くに及んだ母の介護を経て、「向いていない」と感じる俳優の仕事も見つめ直すように。それでも小さな抵抗は、今も続きます。
行方不明の高校生の息子は、加害者か被害者か。案じてやつれる娘にあれこれ世話を焼く。10月9日公開の映画「望み」で、そんな母を演じている。「よかれと思っているけれどうっとうしい、『善意の暴力』のお母さん、いますよね。(共演の)堤真一さんが冗談半分で『あのお母さん何とかしろよ』と言っていました」
拡大する10月9日公開の映画「望み」で石田ゆり子さん(右)の母を演じる市毛良枝さん(左)
自身の母も「まさにそうだった」と笑う。「私はどちらかというと猫タイプで、母はベタッと寄ってくる犬タイプ。本を読んでいると『何読んでんの?』。夜10時ごろに帰ったら『今日何食べる?』。えっ、食べてないの? ってことも何度かありましたね」
その母が脳梗塞(こうそく)で初めて倒れたのは2004年。05年に再発後は深刻な状態が続き、「これが最期かと覚悟した」。「復活」したものの、リハビリ支援や自宅での介護の負担がのしかかった。アフリカ大陸最高峰キリマンジャロなど、40歳から始めた国内外での登山もできなくなった。
「介護うつでは」と思うようになったのは50代後半ごろだ。
毎シーズンのように続いたドラ…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル